2001年宇宙の旅:あのモノリスの正体は? 2000年3月1日



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2001年宇宙の旅について


2001年宇宙の旅ビデオテープ

 この作品は1968年にアーサー・C・クラーク原作、スタンリー・キューブリック監督で、MGMから出された映画として初めて人々の目に触れた。小説は映画の撮影と同時進行し、映画のラッシュを見たクラークが、小説の方を変更すると言うようなことも随所で行われたらしい。その意味では、キューブリックも原作者と言えるだろう。

 完成まで準備も含め5年の歳月が費やされた。完全な秘密主義が実行され、かなり早期から映画の予告編が流されたり、また予定よりかなり完成が遅れたことなどから、とてつもなく素晴らしい映画だと世間で騒がれながら、なかなか完成しなかった。科学的な考証としては、当時世界最高のスタッフをそろえ、来るべき2001年を可能な限り忠実に映像化しようと試みられた。木星への航行やハルの出現をのぞけば、現在ほぼ実現している映像である。月面基地や宇宙ステーションはベトナム戦争他、諸般の事情から宇宙開発が遅れたために実現していないが、それがなければ完全に実現していた映像である。その意味でいろいろな映像をあらためて見ると興味をひかれる。
 宇宙空港での映像はほとんど一般的な国際空港として実現し、声紋による個人の確認やカード電話の実現、地球にいる娘と電話で会話するシーンには会話間のタイムラグまで忠実に表現されている。また、窓の外を地球が回転し、人工重力を作っていることもさりげなく表現されている。月着陸船は1970年にアポロ計画で使用したものに大きさを除けば酷似している。宇宙ステーションに行くスペースシャトルは現在のシャトルとは多少異なっているように見えるが、実は初期のシャトル完成予想図では、まさに映画に示されるような前後とも尖った形をしていたのである!!その意味では非常に素晴らしく、ものすごい作品ではあった。

 当時大学の4年生であった私は映画をよく見に行っていたが、この映画も楽しみにしており、「素晴らしい宇宙旅行を」と思ってSF好きの友人と一緒に観光旅行のつもりで出かけた。しかし、最初に見たときの感じを一言で言えば「何じゃ、 こりゃ!?」である。
 まず最初20分間の類人猿の話。子供は正直である、猿が骨を大空に投げ上げ、くるくると回りながら、やがて宇宙船のシーンへと展開する。「あー、やっと出てきたー」、映画館は一斉に大笑いの渦となった。場内誰もが心の中で思った一言だった。現在は立派なおじさんになっていると思うが、あの子はどうしているのだろうか?と思ってしまう。最後に地球を見下ろす赤ん坊、あれは何だろう?

 映画館を出て自転車で帰りながら、今では有名国立大学の教授となった頭脳明晰な友人にさりげなく聞いてみる、「あの赤ん坊は何かのー?」。「何かのー?、それよりあの黒い石板(映画版2001宇宙の旅ではモノリスとは一言も出ないが、ハルが停止し、自動録画映像が流れるなかで、英語の音声でモノリスと聞き取れるのみである)みたいなものは何じゃ?」。それから後は疑問符の雨あられである。友人も全く分からなかったのである、否、分かるわけもない。
 しかし、一貫してものすごく深遠なテーマが流れており、下手なナレーションや字幕などを入れると映画が薄っぺらいものになってしまう。その内容を知りながらあらためて見るとワンカット、ワンカットに重大な意味が含められており本当にキューブリック監督の偉大さにうならされ、鳥肌さえたつ思いである。

( 2001:A SPACE ODYSSEY , to be Continued Part-2 )


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