ノリ採苗・ノリ養殖 2001年10月21 日


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1、ノリ(海苔)の生活史

1)糸状体貝殻 夏の間は貝殻(これはカキ殻)など石灰質の部分に穿孔してその中にノリは生育する。あたかもカビの菌糸のような状態で生育し糸状体(しじょうたい)と呼ばれる。通常白い部分が黒ずんで見えるが、その部分に糸状体が繁殖している。これがノリの夏の生活史の一部と判明したのは僅か70年程前のことである。
2)果胞子 糸状体の元となる果胞子(かほうし)で、これが貝殻表面に穴をあけて 貝殻に入り込み、糸状体となる。3月の終わり頃貝殻を敷き詰めた水槽に成葉(せいよう)を浮かべておくとやがて生殖細胞から果胞子が形成され貝殻表面に舞い落ちる。

3)殻胞子 これが本当の意味でノリの種、10月の初めころ、エイリアンよろしく貝殻の表面を食い破り、水中に放出され養殖用の網に付着する。

4)幼芽、成葉 殻胞子(かくほうし)が分裂・成長し幼芽(ようが)となりやがて成葉となる。これを摘みとって加工すると製品としてのノリになる。


ノリ糸状体培養、生活史


2、ノリ糸状体の管理、育苗、養殖、加工

1)糸状体の管理: 水槽で入念に管理する。ごみや付着海藻などを人力で洗浄・除去する。
2)育苗: 幼芽がかなり成長している状態
3)養殖: 成葉を摘みとっている状態
4)加工: 手前が選別機、奥側が乾燥機

ノリ糸状体の管理、育苗、養殖、加工


3、採苗作業

1)糸状体貝殻を水槽に釣っている状態、底にも貝殻が敷き詰められている。
2)ノリ網をつける前の水車、
3)ノリ網をつけているところ
4)職人芸でノリの芽を見て、網の付けはずしを指示する所員さん
  ここが司令塔かな・・
5)網をはずして人夫のおばさんに渡している。
6)採苗棟全体と周囲のノリ網置き場の写真。この網にはまだノリはついてない。
7)種がついたら、別の棟にある水槽に入れて漁師さんが取りに来るまで管理する。
8)通常その日の午後とか、次の早朝(3時頃)取りにくる。

ノリ採苗風景


ノリ四方山ばなし

 上記したように、海苔は夏の間も含め非常に大変な努力の結果生産されているのです。 しかも、こんなに養殖ができるようになったのはほんの半世紀ほど 前からです。それまでは、夏はどこに住んでいるかもわからず 運草と呼ばれ、海の浅瀬に竹を立てておくと、運が良い時だけ 僅か獲れたのです。まして、板海苔のような製品にすることなど夢のまた夢でした。

 さて、江戸時代ですが、江戸は当時から世界一の大都市で約100万人もの人口をかかえていました。生活廃水やし尿なども最大限再利用され、非常に進歩したエコ都市だったと記録されています。しかし、どんなに上手にしても江戸湾は富栄養化して行きました。その結果として、江戸湾では良好な海苔が生育するようになりました。つまり浅草海苔が製品としてできるようになったのです。当然のこととして海苔は江戸を代表する土産となって行きました。

 その結果、大名が参勤交代の一番貴重な土産として、浅草海苔(板海苔)を持ち帰り 軽くあぶって、醤油をつけた海苔で白いご飯を食べるのが、最も贅沢なご馳走と なって行きました。地方の大名や家来衆の奥方、お姫様は”お父さんが、江戸土産として、海苔を持って帰るのが待ち遠しい!!♪”と言っていたことでしょうね?

ゆめゆめ、海苔をおろそかに食べてはなりませんぞぉ〜!! 昔は、大名周辺の僅かな人しか食べれなかったのです!


 岩のリ、凄く美味しい、そして貴重品! 特に良い製品は大変すばらしいですね。 昔は岩に自然に生えて来たのを摘み取って製品にしたり 佃煮にしていました。ところが・・他の海藻も入るし、特に小石が混ざります。 だから、上に書いた”良い製品”を作るのは非常に大変でした。

 私自身、何回も試しましたが素人がすると、どんなに綺麗にしたつもりでも 小石が混ざり、じゃりじゃりして食べられません。特に佃煮ではせっかく作っても手間や調味料などが無駄になってしまいます。 そこで・・竹を立てて、海苔を養殖(というより、自然に生育してくる)する 方法を考え出しました。

 この方法で重要なのは、異物が混ざらないのと同時に、干出(かんしゅつ)が上手にできることです。 干出とは潮汐によって、一定時間乾くことですが、海苔が 他の海藻に比較し干出に強いことが関係し、結果として海苔だけが上手に栽培できるというわけです。

 近年はノリ網を使用して養殖していますが、干出は凄く大事な作業です。 昔は網養殖でも浅瀬に竹を立ててそれに固定するようにしていました。そうすると 潮汐で自然に干出ができました。しかし、現在は沖合いの海の表面に浮きいかだの状態でノリ網を設置して行う浮き流し養殖が主流です。 さて、どうやって干出を与えるのか?皆さん考えてみて下さい。

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